この研究は、道路橋の振動使用性照査方法を確立することを目標とし、よく揺れると人が感じる道路橋で振動調査を行い、研究代表者が歩道橋の研究で得た知見をもとに道路橋の振動振幅と使用性を実証的に検討することを具体的な目的とする平成7年度と8年度の2年間の研究である。 平成7年度は、既に対象橋梁の選定作業および予備的振動調査を実施してあった熊本市内で車両・歩行者とも交通量が多く、よく揺れると感じられる子飼橋(ランガー桁橋、支間57.2m)において現地振動調査を実施した。調査項目は、(1)振動振幅(振動速度)の測定、(2)固有振動特性の測定、(3)被験者による振動感覚調査、(4)大型車および歩行者の通行量調査、である。調査は、天気の良い平日の朝8時から夕方18時までの間に、1時間のうち各15分ずつ合計10回の計測を実施した。 測定した振動データは、スペクトル解析により橋梁の固有振動特性を求めた。また、振動振幅については、疲労の分野での応力振幅の算定で用いられるレインフロー法に準じた方法を導入しデータ整理した。具体的には、合計150分のデータから振動速度実効値が0.8cm/sec相当以上の振幅を全て拾い出し、振動速度の実効値を求めた。そして、振動振幅の大きさの程度と時間帯による分布状況を明らかにした。また、振動振幅と人の振動感覚、大型車通行量ならびに歩行者通行量の相互関係の分析を行った。 平成7年度の予定した計画は達成したが、大きな振動振幅が発生した時に橋梁の人必ずしも振動を大きく感じる訳ではないという結果も得られた。この点の解明には、振動波形の振動数成分を考慮する必要があると思われ、平成8年度の研究計画にこの解析・検討を加えることとしている。
|