本研究は薄肉角形断面鋼製橋脚を対象として、コンクリート充填のダクティリティに及ぼす影響を検討したものである。研究方法として、コンクリート充填を行った橋脚を行わない橋脚について、実験と数値解析を行い両者の結果を比較した。 実験に用いた供試体は実橋脚に使用されているサイズの縮小モデルを選び幅×幅×板厚×長さ=200×200×2.2×900とした。これらの供試体は補剛リブを有するものとし、付加条件として、点検孔を有するものとそれを有しないものの両者を選んだ。載荷は30tonf疲労試験機を用い、単調載荷と静的繰り返し載荷を行った。載荷実験では一端固定とし、他端に死荷重に相当する一定軸力の元で繰り返し横方向力を作用させた。 一方、実験に対応する条件で数値解析を行った。解析は弾塑性有限変位解析で行い、実験結果と比較した。実験結果と解析結果の比較においては、解析結果の最大荷重が実験結果のそれより、10%程度大きな値となったが、荷重-変位曲線の形状は良く一致しており、数値解析の実構造に対する適用は信頼がおけるものと判断できる。 コンクリート充填の効果は充填しないものに対して最大横荷重で25%程度の増大が見られ、ダクティリティ性能も向上していた。 最後に阪神大震災で被災したコンクリート充填鋼製橋脚の内、円形断面と角形断面の2ケースについて数値解析を行い、解析結果と崩壊形状を比較した。その結果両者の崩壊形状は大略一致していた。
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