研究概要 |
本研究では、円筒鋼製橋脚を対象として、橋脚下部に補剛材をを取り付けその補剛効果及び繰り返しに伴うダクティリティ特性について、実験を主体にして比較検討した。 実験に用いた供試体は、実橋脚に使用されるサイズの縮小モデルであり、阪神の震災で被害を受けた円筒鋼製橋脚の寸法、現存の円筒鋼製橋脚、及び道路橋示方書等を参考にし、直径×板厚×長さ=209mm×2.5mm×900mmの径厚比(D/T=84)のものを使用した。これらの供試体には、下部に設けたハチマキ状の補剛材の幅及び位置関係によりR40タイプ、R20タイプ、及び補剛を設けない無補剛の3タイプを使用した。実験は、30tonf疲労試験機を用い、単調載荷と静的繰り返し載荷を行った。載荷方法は、死荷重に相当する全断面降伏軸力の15%の一定軸力を作用させて繰り返し水平荷重を作用させた。 実験結果から、3タイプの座屈形状は、無補剛とR20タイプでは供試体基部から約3〜4cmの位置で、'ちょうちん座屈'の形状を示し、R40タイプでは同じ位置で4波の座屈波形を示した。単調載荷及び繰り返し載荷の荷重-変位曲線経路を比較すると、R40、及びR20は、無補剛に比べその最大荷重が16%程度増加することになった。さらに、ダクティリティの評価パラメータによる比較では、最大荷重到達後のダクティリティは、単調載荷及び繰り返し載荷の両者共に無補剛タイプの2倍程度の値を示しダクティリティの向上が認められた。従って、補剛材を設けることにより、耐荷力も向上し、十分なダクティリティの向上が確認できた。 数値解析は、実験に用いた供試体と同じ条件で行った。その結果。ダクティリティの評価では実験結果とよく一致した。また、局部座屈形状は、無補剛,R40タイプの供試体では実験結果と数値解析結果の両者がよく一致した。
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