研究課題/領域番号 |
07650563
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
小田 匡寛 埼玉大学, 工学部, 教授 (90008855)
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研究分担者 |
風間 秀彦 埼玉大学, 工学部, 助手 (40008868)
岩下 和義 埼玉大学, 工学部, 助教授 (40203377)
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キーワード | 粒状体 / 強度 / マイクロメカニックス / せん断帯 |
研究概要 |
土のような粒状体の強度は、普通モ-ル・クーロンの破壊基準で説明され、内部摩擦角や粘着力さえ分かれば応用上の問題は一応解決できる。しかし光弾性実験や数値シミュレーションによる最近の研究によれば、粒状体の破壊のメカニズムは、モ-ル・クーロンの摩擦則で想定されるほど単純ではなく、変形と共に変わる微視的内部構造の中にその本質が隠されていることを教えている。例えば小田による論文(Micro-fabric and couple stress in shear band of granular materials)は、変形とともに圧力芳香に柱(Columnar-like structure)が発達し、また発達した柱の座屈が粒状体の破壊に繋がることを明らかにした。すなわち粒状体の破壊は、微視的観点からすると座屈現象に外ならず、モ-ル・クーロン的せん断強度論とは著しく矛盾する破壊機構がそこでは示されている。このような背景を踏まえ、本研究は、微視的構造とその変化の重要性の観点から、粒状体の新しい強度論を再構成しようとするものである。研究成果を要約すれば以下の通りである。 1)豊浦砂とテチノ砂を用い、排水の平面歪圧縮試験を行い、特にすべり面近傍の粒子構造特性の変化を明らかにした。すなわち、せん断帯の間隙比は砂の最大間隙比を上回り、かつ、粒子の回転は主にせん断帯中に起こり、大きな回転の匂配が認められる。この結果は、接点に作用する偶力の効果によるものとして説明できる。 2)Distinct Element Methodに粒子接点での回転剛性をあらたに付加した数値シミュレーションを行い、実際のせん断帯でみられる大きな間隙比や粒子の回転を再現した。この結果は、粒状体の破壊現象における回転剛性の重要性を示唆するに止まらず、今後の数値シミュレーションの方法に活かされるべき新しい知見である。
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