本研究では、自然堆積粘度の持つ年代効果を定量的に把握するとともに、年代効果を有する粘土を実験室内で容易に作り出す方法を確立することを最終目的として、次の3つのステップで研究を行う。このうち平成7年度は、ステップ1と2を重点的に行った。 ステップ1.年代効果を有する粘度の力学挙動の把握 ステップ2.粘土の粒子構造を定量的に評価する方法の開発 ステップ3.年代効果の再現方法の開発 平成7年度は、当初の研究計画ではステップ1で、数種類の粘土を用いて不攪乱状態の試料と乱れの程度を変えた攪乱状態の試料に対して標準圧密試験、一軸圧縮試験、三軸圧縮試験を行う予定であったが、不攪乱状態の自然粘土の入手に限界があったため、1種類の粘土に対する標準圧密試験と一軸圧縮試験だけしか行えなかった。しかし、限られた条件の中ではあるが、一軸圧縮強度と間隙比の関係に及ぼす年代効果の消失程度は破壊ひずみを用いて表現できることが明かとなった。 また、ステップ2の研究では、当初、粘土の粒子構造を定量的に評価する方法を開発し、年代効果を有する粘土試料および年代効果が消失した粘土試料の粒子構造の違いを明かにする予定であったが、粘土粒子は非常に微小で、かつ粒子同志が接着しているために解析結果の信頼性を確認することが困難であるため、まず解析の精度が確認できる砂を用いて解析を行った。その結果、40個程度の粒子に対して画像解析を行えば十分な精度の結果が得られるとともに、凹凸係数FU、針状比、サイズ等のパラメータを用いると粒子集合体の特性がある程度表現できることが明らかとなった。
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