本研究は、難しい力学問を伴う粘性土層における地下開発時(トンネル掘進時や開削土留め掘削時)での地盤と構造物の相互力学作用を二つの面から明らかにしようとするものである。すなわち、シールドおよび土留め施行時の地盤変位と土圧・水圧の実測力学挙動をもとにした実証的・解析的研究と粘性土のせん断帯の発生力学状態からの応力・変形のメカニズムに関する研究である。本研究は、平成7・8年度の2カ年で行った。平成8年度での研究実績は次のようである。 (1)各種粘性土層条件下でのシールド施工時の掘進条件と地盤変状の関係を工学的に明らかにした。 (2)軟弱粘性土層土留め壁面での水圧と水圧の実測力学挙動を工学的に明らかにした。 (3)これらの実測力学挙動を土と水の連成作用・施工時間を考慮した有限要素法解析により検討した。その結果、実測力学挙動を工学的に説明できた。 (4)地中連続壁や土留め掘削の変形が大きくなると地盤のある場所のみに変形が加わる、いわゆるひずみの局所化という現象が生じる。粘土地盤中に生ずるせん断帯を調べる研究を通して、構造物に生ずるせん断の現象を考察した。
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