平成7年度においては研究計画に沿って次のように研究を進めた。 1)電力中央研究所、運輸省港湾技術研究所波崎観測ピアなど、種々の研究機関から砂浜の縦断地形に関する実験・実測データを収集した。2)収集した縦断地形を相似な形状の地形タイプに分類した。得られた地形タイプ毎に、平均的縦断形状を求めた。3)波高・周期結合分布に従って、入射波をいくつかの(波高、周期)のグループに分け、それぞれのグループに縦断形状を対応させた。4)現地海岸(茨城県常陸那珂海岸)を対象に、波高・周期の出現頻度を考慮してこれらの地形を重ね合わせ平均縦断地形を求め、実測地形と比較した。 その結果、次のような知見が得られた。 1)砂村の分類(侵食型、中間型、堆積型)を参考にして、収集した縦断地形は7種の地形タイプに分類できた。2)分類された地形タイプを入射波、平均勾配、底質粒径等の関数として表現するには実測データが不足している。現在の知見の下では、平均縦断地形は、水平、鉛直座標を漂砂帯の幅と高さとで無次元化して経験的に決めるしかない。3)再現された平衡地形とBruun等の与えたh=Ay2/3という関数形など従来提案されている平衡地形との適合度はよくない。 さらに、外力として沖波波高、沖波の波形勾配、エネルギーフラックスの累積値などを取ったところ汀線の変動とよい相関を示した。汀線だけでなく等深線の岸沖変動とこれらの外力の関係とを関連づけることによって縦断地形の外力に対する応答のモデル化ができる可能性がある。
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