研究課題/領域番号 |
07650589
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
八木 宏 東京工業大学, 工学部, 講師 (80201820)
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研究分担者 |
二瓶 泰雄 東京工業大学, 情報理工学研究科, 助手 (60262268)
日向野 純也 水産庁, 水産工学研究所, 主任研究官
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キーワード | 内部潮汐 / 黒潮 / 沿岸湧昇 / 成層期 / 水温 / アルゴスシステム / GPS / 沿岸生態系 |
研究概要 |
本年度は、開放性が高く外海の影響を受けやすい沿岸域として鹿島灘波崎海岸周辺海域を対象とし、現地観測を中心とした以下の研究を行った。 (1)高精度水塊追跡システムの開発 沿岸域の水塊のLagrange的な運動を把握するためには、数10m精度で水塊位置をリモートセンシングするシステムが必要である。本研究では、これを実現するために海洋漂流ブイとして実績のあるアルゴスシステムと高精度測位が可能なGPSを組み合わせた新しいシステムの構築を試みた。ここで問題となるのは、複数の人工衛星を利用する場合のそれらとの受送信タイミングである。本研究では、陸上試験に引き続き実海域における試験を行い、海上でも安定して複数の人工衛星を利用可能な受送信タイミングを見い出し、欠測率が極めて低い高精度漂流ブイシステムを構築した。 (2)開放性の高い沿岸境界域における成層期の流動-水質-生態系に関する現地観測 沿岸境界域における外洋の影響を把握するために、海岸から3km以内の沿岸境界域に4箇所の観測ステーションを設け、1996年7月〜8月に流動・水質に関する連続計測を行った。さらに、これに併せて観測調査船『たか丸』(水産庁保有)を利用した広域集中観測も行っている。その結果、1)海岸付近の長期的な水温変動は海上風による底層冷水の湧昇および黒潮の接岸に大きく影響を受けること、2)1日スケールの水温変動は日射や気温といった気象的要素ではなく内部潮汐によって強く支配されていること、3)黒潮の接岸といった外洋の影響は内部潮汐を介して陸岸近くに伝わっていることが明らかになった。さらに、内部潮汐は水温だけでなく栄養塩や植物プランクトンも輸送しており、成層期においては沿岸域の内部潮汐の挙動が沿岸生態系に大きな影響を与える可能性があることが明らかになった。
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