1.既存資料調査: 本研究の目的であるIFIM(正常流量増分法)を骨格とした河川生態環境評価法の確立に必要となる水理学的特性値と魚類生息量とが対応する既存の文献について調査した。これにより、いくつかの魚種についての知見が得られ、その結果より我が国においてのIFIM適用の可能性が示唆された。しかしながら、既存資料のみでは情報が不十分であり、今後のさらなる調査の必要性があきらかになった。 2.現地調査 (1)魚類生息状況調査および流況調査: 長野県、愛知県、千葉県のいくつかの河川において実際の調査を行った。その結果、数種の魚種について、水理学的特性に対する相対的な魚類生息量(選好性)が示され、さらにある程度の普遍性も河川間の比較により示唆された。その一方で、河川の規模や魚種ごとの成長段階、さらには産卵や越冬などの特別なイベントになどによる違いが浮き彫りにされ、調査法・解析法の整理が要求される結果となった。このような点において、我が国の河川、魚類独自の工夫が必要であると考えられ、検討している。 (2)生息場予測のための水理計算: 長野県農具川、愛知県乙川において現地調査等で得られた測量結果より、対象区間の構造を数値化し、不等流計算によって各流量における水面形を再現した。現在は1次元での再現であるが、より高次での計算を検討中である。 3.今後の研究計画: 今年度の研究結果より浮き彫りにされた問題点から、モデルに改良を加える。 現在進行中の調査・解析をさらに進め、いくつかの魚種について対象河川における生態環境評価を実際に行い、評価法として確立する。
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