平成7年の7月に斐伊川において二度の出水があり、南神立橋において水面流況を撮影し、同時に十字浮体に取り付けた測深機によって河床形状を三次元的に計測した。本年度は、まずこれらの計測結果の取りまとめを行い、その結果、洪水時の河道の抵抗特性、洪水時に形成される砂堆と小規模砂州の多重構造性、河床波の時間変化特性、河床波の移動速度、および砂堆の流下に伴う流砂量が明らかにされた。これらの成果は、裏面の三つの研究発表にまとめられている。 本年度の洪水観測については、平成8年の6月25日から26日にかけて斐伊川においてピーク流量が1040m^3/secに達する出水があり、ラジコンボ-トによる広域の河床観測、ならびに南神立橋の橋上から十字浮体による河床形状の計測とビデオカメラによる水面流況の観測が実施された。ラジコンボ-トによる河床計測結果から、波長が200〜250mのうろこ状の砂州が捉えられ、観測期間中にそれらがほとんど移動していないことがわかった。さらに、十字浮体による河床計測結果も合わせると、斐伊川においては、洪水時にはうろこ状の砂州、小規模の砂州ならびに砂堆というように、規模の異なる河床形状が多重構造性を持って形成されていること、および河床形状の規模が大きくなるほど河床波の移動速度が小さくなることがわかった。 一方、非定常開水路流の乱流構造に関する実験的研究においては、非定常流を発生させる装置を完成し、非定常流を可視化撮影するための装置を準備中であるが、本年度内に非定常流を可視化撮影して、画像を解析するところまでは至っていない。次年度のできるだけ早い時期に実験的研究を完了して、洪水観測と実験結果とを総合的に考察することにより、河床形状の変化特性を含んだ洪水流の実態を明らかにする予定である。
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