1.クリークの実態調査 (1)佐賀市街地の中央部を東西に流れる十間堀川以北の、多布施川と大溝下水路に囲まれた26水路、総延長26、661mのクリークを対象として、水路の従・横断形状に関する資料、及び流量に関する資料を収集した。水路網への流入は多布施川からの5カ所で、南流して全て十間堀川に流入している。 (2)水理構造物に関する現地調査を実施し、その形状(堰高、堰幅など)を実測した。上記の領域に現存する構造物は、全幅堰6カ所、水門1カ所、狭窄堰1カ所、矩形樋管1カ所、円形樋管8カ所、段落ち3カ所である。 2.水理モデルの構築とプログラムの開発 (1)水理構造物の定式化:各構造物の越流公式を離散化し、ブランチ・ノードモデルへ組み込んだ。対象水理構造物は、各種の堰、水門、段落ち、ポンプである。樋管は円形・矩形水路とし満管になると管路として計算するようにした。モデル水路でいずれの構造物においても射流遷移、常流遷移の計算が可能であること、また樋管の場合は開水路・管路の計算が可能であることを確認した。 (2)行き止まりの水路、水量が少なく干上がる水路が存在しても水路網の計算が可能であることを確認した。 (3)水路網にポンプ場を設け、強制排水による水位管理を可能ならしめた。 3.佐賀市街地クリーク網の水理シュミレーション:クリーク調査結果をデータベース化して流況をシュミレートした結果、多布施川からの流入量はクリーク網の西半部に集中し、東半部である佐賀市中心街の水路網への水量が少ないこと、東半部の水路は勾配も緩やかで流速が極めて小さく、殆ど停滞状態であること等が得られた。
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