1.佐賀クリーク網の実態調査 佐賀市街地18.5km^2の26水路、延長26、661mのクリークに関する資料を収集するとともに水理構造物の現地調査を実施した。対象領域の構造物数は、全幅堰6、水門1、狭窄堰1、段落ち11、短形樋管1、円形樋管8である。 2.水理モデルの構築とプログラムの開発 グラフ理論に基づくブランチ・ノードモデルを用いて複雑な水路網の非定常流計算が可能な数値モデルを作成し、ポンプも含めた種々の水理構造物を有する水路網の水理計算プログラムを開発した。閉回路を形成しない行き止まり水路や干上がった水路が存在する場合、及び調整池を有する場合の計算手法も開発しており、本モデルはあらゆる水路形態に対応可能である。 3.佐賀クリーク網の現況と流況改善の方策 (1)クリーク網の現況は1990年7月に実測した流量(系外からの総導水量1.12m^<3/s>)でシミュレートした。佐賀市中心街を含むクリーク網東半部への流入量は総導水量のわずか16%である。このためヘドロ化を防ぐ最小流速値25cm/s以上のブランチ数は東半部全ブランチ数のわずか13%で、流速10cm/s以下のブランチが40%、水深5cm以下のブランチが30%を占めていることなど、流況悪化の状況を詳細に把握できた。 (2)東半部の流況改善を目的とした現在の追加導水計画では、その60%が西半部へ流下して効果が半減するが、新たな堰による流水制御で、西半部における流況を悪化させることなく流速25cm/s以上のブランチ数を50%に増加させることができる。導水量増加ろ水理構造物管理による流況改善には限界があり、過大な量の導水はかえって流況を悪化させることから、現況水路における最適総導水量は4.0〜5.0m^<3/s>であることが判明した。
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