夜間事故の分析として宇都宮市を対象に、(1)夜間交通事故の特性把握と(2)夜間交通事故との道路照明環境の分析を行った。 まず、平成3年〜平成7年までの交通事故データ(7187件)をデータベース化し、事故の第一当事者に着目して分析を行った。特に全事故の中から夜間に発生した事故で、かつ事故要因が前方を注意していた事故(288件)を抽出し、事故類型別(人対物、車相互、車単独)に考察を行った。事故程度を外的基準とした数量化II類の分析結果、夜間事故の悪化傾向は道路構造、道路付帯施設、沿道土地利用に関係することがわかった。特に人対車両の事故を見ると、非市街地で歩車道区分のない場所で事故が悪化することがわかった。 次に、宇都宮市内の中で対象路線を設定し、夜間事故と道路照明の関連性をより詳細に検討した。なお本研究で用いた照度分布測定においては、照度計とGPSをパソコン上で連結することで、独自に自動計測システムを構築した。実測された照度データをもとに、交通事故の発生地点と照度を対応させることで、照度が交通事故に与える影響を検討した。その結果、夜間事故の起きていない区間と事故区間を比較すると、総じて事故区間の平均照度が低く、かつ区間内の照度の分散値が高いことがわかった。 今後は事故データベースと照度分布を地理情報システム上でリンクさえることで総合的なシステムを構築する予定である。
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