1.既往文献の整理を行い、OD交通量推定モデルは、その推定方法により、おおむね以下の4種類に分類できることがわかった。(1)エントロピー最大化法(2)最尤推定法(3)一般化最小二乗法(4)ベイズ推論によるアプローチ 2.時間内に変化しないOD交通量を推定する手法として、既に開発された方法の中から、エントロピー最大化法を利用し、(1)時空間ネットワークの概念の導入(2)利用者の経路選択行動を時空間ネットワーク上で表現し、(3)日単位や大きなゾーン単位の既存のOD情報を活用した、時間変化するOD交通量推定モデルの構築を行った。 3.構築されたモデルに従い、時間単位のOD交通量を推定するプログラムの開発を行った。しかし、完成されたプログラムは、(ODペア数)×(時間帯数)個の変数を最適化するプログラムであり、かなりの計算時間を必要とする。またネットワークの規模の二乗に比例して変数の数が増加するため、現在のところ計算可能なネットワークの規模は限られてしまう。また、この最適化計算の計算方法のさらなる簡略化はかなり困難であるので、さらに大規模なネットワークについての適用を可能にするため、計算機の能力向上に期待する。また、観測交通量ならびに経路選択率に誤差がある場合の解析方法については現在検討中である。
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