研究概要 |
当該年度は,幹線交通機関の改善が利用者及び周辺住民へ及ぼす効果の予測方法の提案を行っているが,これらは次年度に幹線交通整備に対する評価システムとして融合を行うための基礎的な研究である。 (1)幹線交通整備に対する利用者便益の測定方法の提案 従来より,交通機関選択モデルとしてロジットモデルが適用されてきたが,ロジットモデルを用いた利用者便益計測は過大推定の問題を抱えている。そこで,本研究ではプロビットモデルを適用しその改善を試みるが,通常の方法ではモデル推定が困難であり汎用性が低いため,共分散行列を構造化することでこれらの欠点を補うことを試みた。例として,構築した便益算定手法を大都市鉄道ネットワークに適用し,その有効性を確認した。今後は幹線交通ネットワークでの本手法の有効性を検討する予定である。 (2)幹線交通整備に対する周辺住民の意識構造の分析 近年,交通施設整備プロジェクトに対する住民側への情報提供不足が事業の長期化を招いており,これに伴う国家的不利益が増大している。これは事業主体が住民の意識構造を把握するための技法が存在していないことに起因する。本研究は,北陸新幹線を例にとり,プロジェクトの決定から現在までの住民の意識構造の変遷を定量的に分析し,上記問題の解決を試みた。
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