本研究では、市街地周辺部に多く立地する傾向にあるSCに着目し、その立地によって周辺の世帯や利用客の休日活動・交通パターンがどのように影響を受けるか、またこれに伴いSCの商圏形成がどのようになされるかを買物場所選択モデルの構築を通じて明らかにした。具体的には、 (1)まず買物を中心とした休日諸活動の連結性、1日の交通行動パターンと時空間制約との関係動的な意思決定行動特性の把握を通じて実証的に検討した。 (2)次に、対象SCを取り巻く経年的な経済的環境変化(具体的には競合店舗の進出や交通条件の変化)に着目することにより、それらが買物交通パターンにどのように影響したかを把握するとともに、SC商圏形成のメカニズムを買物場所選択モデルの構築を通じて明らかにした。 (3)また、本研究では、パネル分析の遂行において不可欠な方法論の開発・適用を実証的に試みることにし、特に、パネルデータが同一個人に関する経年的な繰り返しデータ(Repeated mesurement data)であることから、サンプルデータの母集団の代表性が問題となる。ここでは、このパネルアトリッション問題についてアトリッションモデルの構築とそのバイアス修正法を提案し、その有効性を検証した。 (4)1989年を第1回として、1996年まで合計8回にわたる甲府買物パネル調査を完成させることができ、今後のわが国のパネル研究への十分な寄与が期待できるデータベース化ならびに方法論的課題の抽出がなされた。
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