研究課題/領域番号 |
07650618
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
交通工学・国土計画
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
宮城 俊彦 岐阜大学, 工学部, 教授 (20092968)
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研究分担者 |
鈴木 崇児 岐阜大学, 工学部, 助手 (70262748)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | ネットワーク均衡分析 / ネットワーク外部性 / 2段階最適化問題 / ブッシュ均衡 / シュタケルベルグ均衡 / 変分不等式問題 / ペナルティ関数法 / 非線形感度分析 |
研究概要 |
「応用ネットワーク均衡分析」とは、上位問題が何らかの政策決定で、下位問題が上位計画の決定変数を含むネットワーク均衡問題で構成される問題を指す。平成7・8年度の成果を以下に要約する。 1.公共交通の費用構造及びネットワークの外部性に関する研究 ・わが国における鉄道、バス事業の費用データをもとに公共交通の費用関数、需要関数の推定を行い、費用関数については、規模の経済が働いていること、また、需要関数の推定より距離に関する規模の経済が存在することを確認した。 2.ラムゼイ価格均衡モデルへの応用 上位問題がラムゼイ価格決定問題、下位問題が交通機関分担・配分同時決定モデルで表現される問題である。公共輸送機関の輸送の費用関数、需要関数1.で得られた関数を使用した。計算にはペナルティ関数法に基づく非線形感度分析法を用いた。この結果、以下の点が確認された。 ・限界費用価格設定(the first best pricing)では、公共輸送機関に赤字が発生する。すなわち、公共輸送には規模の経済が働いている。 ・ラムゼイ価格決定(the second best pricing)により公共輸送機関の赤字は解消される。料金は新交通システム事業への補助率に影響を受ける。 ・社会厚生関数を最大にする政府補助率が存在する。 ・シュッタケルベルグ均衡に基づく計算は、ナッシュ均衡の場合より、収束が早い。ただし、今回の計算例では2つの均衡概念に基づく計算結果はほぼ一致した。これは、上位および下位問題の情報の受け渡しについて、情報の非対称性が緩和されたためと思われる。 3.多地域一般均衡モデルへの適用 高速道路建設によって各地域の生産量が変化し、地域間物流が変化すれば、道路網全体の混雑状況が変化し、その結果、生産要素投入の地域的変化をもたらす。このような、地域の生産構造とネットワーク構造が相互に連関する多地域一般均衡モデルも応用ネットワーク均衡分析の対象になる。この問題の定式化は複雑な変分不等式問題になり、現実的な解法が非常に難しくなる。そこで、本研究では、2段階の階層構造を考え、ネットワーク均衡が上位の地域間一般均衡モデルへ影響しないようなモデルを作成した。地域間一般均衡モデルについては実際のデータを用いて計算したが、ネットワーク均衡との整合性を取るまでには至らなかった。
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