今年度は、大阪都市圏内の住民を対象にアンケート調査を行って、ロードプライシングの代替案の作成の方向性とロードプライシング実施時における通勤交通手段転換モデルを二項ロジットモデルを用いて構築した。まず前者については、パッケージアプローチによるロードプライシングの賛否意識の変化特性を探ったところ、ロードプライシングについては約半数の賛成が得られた。さらに、非賛成派に賦課金からの収入を公共交通機関の補助、バイパス道路の整備、自転車・歩行車道の整備等の交通環境整備に使うことを示すと、半数程度が賛成派に転じ、全体で約75%が賛成派となり、住民の受容可能性は十分にあることが判明した。また、社交目的において、賦課金提示による賛成率の上昇効果が特に大きく現れ、代替案の作成時には政策目標に応じて特に規制対象車種を考慮しなければならないことが明らかとなった。次に後者については、通勤交通手段の転換要因としてドライバーにとってトレードオフの関係にある賦課金額と時間短縮効果とさらに個人の暮らし向きを導入した。パラメーターの推定結果はどの変数についても有意となり、転換確率の50%タイル値をとると315円になることがわかった。来年度はパーソントリップ調査および道路交通センサスのデータをもとに大阪都市圏の交通流動特性を把握した後、構築した非集計モデルをもとにして道路交通環境改善予測をおこない、さらにNOxの改善効果予測、賦課金の収入の算定をおこなってロードプライシングの総合評価を行う予定である。
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