最初に、道路網形態の評価指標に関する特性分析を行い、各種の指標が格子型や放射環状型などの道路網の型よりも、Tree状と完成型の相違に対して敏感であることが明かとなった。また、ノード間距離指標は、(1)道路網上の距離短縮効果が大きい効率的なリンクの追加に敏感に反応すること、(2)格子状の道路網の偏平度や道路網の規模の変化に対して敏感であること、(3)規模が同じで形状のみ異なる道路網では異なる値をとること、(4)規模の異なる道路網相互を比較する際には、道路網の半径を用いて標準化した値を用いればよいこと、などを明らかにした。 次に、実在道路網にノード間距離指標を適用して、道路網の形態と機能特性に関する次の分析を行い、様々な適用方法が有ることを示した。(1)日韓4都市の道路網形態の分析から、福岡・大分に比べて北九州・蔚山の道路網はリンク相互の連結性が低いため、道路網本来の機能が十分に発揮されていないことを示した。(2)福岡都市圏の自動車専用道路の整備計画を対象として分析から、福岡都市圏の計画道路網の整備が都市圏全体に大きなインパクトをもたらすこと、周辺地域相互の交流を促す可能性があることを示した。(3)放射環状型道路を対象とした分析から、放射道路は沿道の隣接する地域間の移動性を高度に高め、環状道路の整備は広域のそれを高めていることを明かにした。 最後に、道路網においてノード間距離平均値を効率的に減少させることを目的とした新設リンクの抽出法の検討を行い、リンク抽出のアルゴリズムとその適用結果を示した。放射型道路網への適用結果からは、(1)局部的なリンクノードの集中は、ノード間距離平均値を減少させる効果が大きく、一方、(2)道路網全体への均衡のとれたリンクの新設は、ノード間距離標準偏差を減少させる効果が大きいことが示された。
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