本研究では、市民生活の基盤構築に不可欠でありながら環境破壊の原因の一つとして取り上げられることの多い公共土木事業を題材として、「自分達の生活と公共土木事業」及び「公共土木事業と環境変化」のふたつの話を結び付けた、新たな小学校環境教育の教材を作成した。 題材としては、水害対策事業とダム事業とし、これらを「水環境」という視点から結び付ける一連のストーリーを作成し、水環境に配慮していない日常生活が余分の公共事業を必要としている実態を説明するとともに、環境形成に対しての個々人の努力の必要性を気付かせる内容とした。また、これらの事業を必要とする根本原因が森林破壊にあることから、社会科で教えることになっている世界の森林破壊についての学習を自然に行えるように配慮した。この教育内容を、宮城県塩竈市の6小学校において、5年生を対象に授業し、事前、事後のテストによって教育効果を測定した。 一方、小学校カリキュラムは既にかなり過密であり、環境教育に新たに割ける時間が少ないことから、通常の社会科教育の中で環境教育を実施できるように、公民教育としての社会科と環境教育とを関係付けるための、小学校教師向け資料を作成した。すなわち、社会科教科書の中で環境に関連する部分を取り出し、それらを配列し直すことによって、環境保全を教えるための新たなストーリーを提示した。
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