研究概要 |
廃棄物最終処分場の確保がますます困難になってきている現在,埋立地の延命策として焼却処理あるいはプラスチック類の減溶化などの中間処理が普及しつつある。それに伴って,埋立ごみも従来の生ごみから焼却残渣などに移行してきていることから,最終処分場における埋立ごみの安定化,無害化という重要な問題に関しても,中間処理を経た埋立ごみの特性を勘案する必要性が増してきている。 本研究では,このような現状を踏まえ,全国の一般廃棄物最終処分場を対象にこれまでに行ってきたアンケート調査結果をもとに,埋立ごみ質と浸出水の性状に関して,全国的な現状を検討した。また、浸出水中の難分解性有機物,窒素およびカルシュウムを始めとする塩類に着目して,各種埋立ごみの溶出試験を実施した。その結果,各汚濁物質の発生源としての寄与は,調査対象最終処分場における年間実埋立量を勘案した場合でも,EP灰(電気集塵灰)が多くの項目で最も高いことが明らかとなった。 さらに,最終処分場においてはこれまでほとんど調査例のないTHMFP(トリハロメタン生成能)についても,溶出試験試料,実浸出水ならびにその処理水を用いて測定を行った。これより,浸出水のTHMFPは臭素系THMが約80%を占めていること,また各種埋立ごみのTHMFP構成成分はEP灰,焼却灰で臭素系の割合が高く,これらが浸出水の臭素系THMの増加の原因となっていると推測されることなどの結果が得られた。さらに,浸出水処理水のTHMFPは200μg/l前後と,浸出水原水の約20%の値に低下し,処理過程とくに活性炭処理での低減がなされていることも明らかとなった。今後,臭化物の存在も視野に入れて,埋立ごみの質的安定化について考察するとともに,中間処理の改善による埋立ごみの減溶化の手法を検討する計画である。
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