研究概要 |
焼却処理等の中間処理の普及に伴う一般廃棄最終処分場における埋立ごみ質の変化の影響は,浸出水中の難分解性有機物や塩類の増加あるいカルシウムスケールの発生などにより,現実的な問題として現れてきている。 本研究では,広島県のA一般廃棄物最終処分場を対象とし,平成7年8月より平成9年1月まで浸出水およびその処理水に関する定期的な水質調査を実施し,本浸出水が極めて高濃度の塩類を含有しているとともに,臭素化合物を主成分とする高いトリハロメタン生成能(調査期間内平均値:940μg/l)を有していることなどを明らかにした。また,埋立ごみの溶出試験結果から,浸出水中の有機物ならびに窒素については廃プラスチック固化物ならびに不燃物(選別残渣)による寄与が大きいのに対し,塩類(Cl,Na,K,Caなど)については約80%が電気集塵灰(EP灰)に起因していることを示した。同じ溶出試験液を用いてTHMFPの測定を行った結果,廃プラスチック固化物から溶出する有機物と電気集塵灰から溶出する臭素がTHMの生成に大きく関係していることが明らかとなった。そこで,キレート溶液で電気集塵灰を洗浄し,重金属の不溶化と塩類の除去を同時に図る洗浄処理法を提案し,検討を行った結果,20倍量の10%キレート溶液による洗浄で埋立基準を満足する重金属の不溶化と85%前後の各種溶出塩類の除去が達成でき,かつEP灰の埋立量の37%を減量できることが示された。ただし,Caの除去率がその他の塩類よりも低いことから,現在その処理法について検討中である。さらに,これらを通して埋立地の延命化も含めたより適切な最終処分場の安定化促進技術の提示を図る予定である。
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