1996年度の研究において明らかになった点を例記すると次の通り。 1.藻類の凝集と阻害に関する実験的検討 (1)凝集剤接着時間によるアルミニウムの変化については、溶解性アルミニウムがある時間接触後に極大濃度に達し、その後また減少するという傾向をとる。その濃度や接触時間はいわゆる凝集剤の最適注入量をはずれると高度は高く、注入アルミに対する比率も高くなる。これは溶解性アルミの残留という観点から重要な知見といえる。 (2)昨年度の結果である死滅期における藻類は凝集剤のアルミニウムと多く結合して溶解性アルミニウムになるなりやすいことを確認した。この傾向はPACの方がAlumに比較して顕著である。しかし有機物の紫外部吸光度成分との相関性は得られず、この点はさらに検討を要する。 2.針状珪藻の急速ろ過実験によるろ過閉塞防止のための検討と実ろ過池の複層ろ過池調査結果 (1)アンスラサイト複層の優位性をろ過効率の高さ、幅広い珪藻長に対する効率的ろ過、抑留のろ層全層にわたる広がり、小さな損失水頭の発現などの長さの異なる混合藻類に実験で確認できた。 (2)実際のろ過池では凝集沈澱で相当程度針状珪藻は除去されるが、やはり季節的に多くの針状珪藻が未ろ水中に残留する期間がる。 (3)その場合でも有効径1.4mm、均等係数1.5のアンスラサイトを10cm布節するだけで、損失水頭は砂単層の場合の1/2〜1/3以下に小さくすることができ、長いろ過継続時間と安定したろ水を得ることができることが確認できた。
|