[本年度の研究実施計画の(1)〜(3)の結果から得られた新たな知見] 1.冬季に外気温が日周期変動する場合の壁体の透湿・内部結露性状を、低温一定の場合とも比較して、壁体構成ごとに定量的に明らかにした。 2.最低気温が氷点下における外気温の日周期変動の場合、壁体構成によって多少の差はあるが、いずれも日最高温度が低いほど、壁体内の水分蓄積量が多くなる。 3.今回の外気温度変動条件で壁体内の水分蓄積量が多くなるのは、外装仕上材のあるALC単体の壁体と、防湿層のないグラスウ-ル断熱の壁体である。 4.壁体構成によってその影響量は多少異なるが、一般に屋内側湿度が高くなるほど、壁体への水蒸気流入量が増加し、水分蓄積量も増加する。本実験により、壁体構成毎に、内部結露に及ぼす屋内側湿度の影響を数値的に把握することができた。 5.壁体内の水分蓄積位置は、外装仕上材のあるALC単体の壁体では透湿が妨げられるため屋外側表面近くに、グラスウ-ル断熱の壁体では凍結しているALCの室内側(グラスウ-ル側)表面に多くなり、外気温が変動しても、水分蓄積位置は壁体内のある部分に集中している。 6.グラスウ-ル断熱壁体では、温度変動条件にかかわらず、ALCが氷点下となっていることが多いため、室内側からの水蒸気流入量のほとんどが壁体内に蓄積する。
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