地震による人的被害発生を主原因により、家屋建物の倒壊による死傷と室内家具什器の被害による負傷に大別し、それぞれに関わる影響要因を住民アンケート調査結果と行政による人的被害統計から検討した。建物倒壊により閉じ込め、救出を伴う場合は負傷者に比べて死者の比率が高い。室内被害に起因する人的被害はより低い震度から出現して発生率が高まり、重傷・軽傷者が増大する傾向がある。 死傷率は震度に対して対数正比例の関係にあり、震度5でおよそ0.5-1%o、震度6で10-20%oに達する。震度の他に、住宅の家具配置や住まい方に関係する室内散乱度、家族の属性なども人的被害に関わっていることが示された。 地震による人的被害、特に死者を低減するためには、中長期的な防災対策として倒壊危険の建物・家屋の耐震診断と耐震補強が重要である。一方で、明日にも地震が起こるかもしれないことを想定して、万が一の緊急対応策一救助・搬送・医療など一を準備しておくことも不可欠である。 室内被害による負傷者を減らすためには、家具・什器・設備機器等の固定など安全対策が欠かせない。納戸や倉庫などを用意して、日常の生活・勤労空間から危険物を分離するなど、建築的な対策をすすめ、一方で地震に対して安全な家具・電気器具の開発が望ましい。
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