研究概要 |
設定された数種類の屋根モデルに対し,昨年度風洞実験より得たデータを用いて動的応答解析を行い,風応答特性を明らかにすると共にその荷重効果について考察した。屋根モデルは,ライズ0の陸屋根(スパン/軒高を変化)とライズを有するドーム屋根(ライズ/スパン比,スパン/軒高比を変化)の二種類である。これらは応答特性が異なるので,それぞれ別のアプローチによって検討した。以下,本研究で得られた主な結果を要約する。 1 陸屋根の風応答とその荷重評価 (1)低次5モードに対するモーダル風力を風洞実験結果より算定し,その特性を明らかにした。その結果,3次以上の高次モードが屋根の応答に寄与する割合は非常に小さいことが示された。 (2)時刻歴モーダル解析により,屋根の動的応答(変位,曲げモーメント)の特性を明らかにした。その結果,一定時間内のピーク応答の期待値はガスト影響係数法で近似的に評価できることが示された。 (3)ガスト影響係数を建物の幾何学的パラメータ並びに気流の乱れの強さの関数として表わす実験公式を導いた。 2 ドーム屋根の風応答 (1)風洞実験結果に基づいて風荷重をシミュレートし,それによるドームの動的応答を時間領域で解析した。その結果,動的応答において支配的となるモードが明らかになった。 (2)シェル近似によるドームの振動数・振動モードの計算,並びに,風圧力に関するデータベースを利用することにより,ドーム風応答を簡便に評価する手法を提案した。 (3)平均応答と最大ピーク応答との比較より,ガスト影響係数法による設計用風荷重評価の可能性が示された。
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