使用限界に対する設計基準を得る目的で長期載荷実験を実施した。ひび割れ発生後の剛性低下が大きいために、長期設計曲げモーメントをひび割れモーメント以下にせざるを得ないことから、ひび割れモーメント以下で曲げモーメントの大きさを3種類に変えた。何らかの原因でひび割れが発生した場合を想定し、ひび割れが発生するまで載荷した後に一旦除荷し、所定の曲げモーメントまで再載荷して一定に保った。FRP筋の応力度レベルは120、160、200MPaに対応する。長期たわみの増加量は補強筋の応力度レベルに比例しているが、どの場合にも約3ケ月でたわみ増加が止まった。また支持スパンの大きさに比べて特に問題となるような大きさではなかった。 ひび割れ幅についても同様で、補強筋の応力度レベルが大きいほどひび割れ幅の増加量が大きいが、どの場合にも約3ケ月で増加が止まった。しかし、許容ひび割れ幅の大きさにもよるが、初期ひび割れ幅が相当に大きくなるので、長期載荷時のひび割れ幅の増大は好ましくなく、長期ひび割れ幅の増加を殆ど無くすためには、補強筋の応力度レベルを120MPa程度に制限すべきであることが分かった。 昨年度実施した短期載荷実験の結果を反映させ、モンテカルロ法による曲げ終局限界に対する部材耐力係数(φファクター)を求めた解析では、引張補強筋比が大きくなると同じ安全率を得るのにφファクターが小さくなることが解った。
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