研究概要 |
引張力の繰返しにより圧縮強度および剛性が低下するものがあり、設計クライテリアの設定時には考慮すべきであろう。疲労寿命は環境温度および繰返し荷重の時間間隔の影響を受けることも設計クライテリアの設定時には考慮すべきであろう。 部材耐力係数は、およそ0.8程度の値が求まったが、破壊安全率をいくらにするかという議論が残されている。また、本研究では、FRP筋の圧縮強度が引張強度に比べて小さいこと、また繰返し荷重によってさらに圧縮強度が低下することを考慮に入れていない。特に,地震荷重を受ける場合には、FRP筋の圧縮強度を考えた部材耐力係数の提案が必要となろう。 使用限界に対する設計基準を得る目的で、格子状FRP筋を使用した曲げ部材の短期載荷実験および長期載荷実験を実施した。格子状FRP筋の特性を考慮して、ひび割れ幅およびたわみ量の評価を行なった結果、実験結果と良く一致する予測式を提案できた。 ひび割れ発生後の剛性低下が大きい場合には、長期設計曲げモーメントはひび割れモーメント以下にせざるを得ないであろう。この場合、長期たわみの増加量は補強筋の応力度レベルに比例するが支持スパンの大きさに比べて特に問題となるような大きさにはならない。ひび割れ幅の拡大も補強筋の応力度レベルに比例するが、初期ひび割れ幅が相当に大きくなるので、長期荷重時のひび割れ幅の増加を無くすような設計クライテリアの設定が必要となろう。ただし、ひび割れ幅を使用限界にした場合にはFRP筋の応力を相当低い応力度レベルに制限しなければならない。
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