研究概要 |
本研究は,海岸沿い地域での海岸地形および気象を考慮した塩害環境評価,コンクリート中への塩分の浸透過程の把握,コンクリート内部で潜在的に進行している鉄筋腐食の非破壊評価を目的とした。 塩害環境評価では,塩害を引き起こす最大の原因となる飛来塩分量を求めるべく,砂浜海岸や消波ブロック海岸等の海岸別に飛来塩分の発生量を実験的に定量化した。また,飛来塩分の鉛直分布も測定した。そして,海岸での飛来塩分発生量および鉛直分布を境界条件として,飛来塩分輸送方程式をF.E.Mにて解き,内陸部での飛来塩分量を推定する手法を提案した。これと以下に示すコンクリート中への塩分浸透解析手法によって,塩害環境評価が可能になる。 コンクリート中への塩分透過過程の把握では,10年間に及ぶ暴露実験結果を基に,各飛来塩分量環境下において,コンクリート中に浸透分布する塩分量を解析的に求める手法を提案した他者が行った実測結果と比較したところ,本解析結果は,沖縄県においては他者の実測値とよく一致したが,他県における実測値との比較では,本解析値の方がコンクリート中の塩分量を高く評価した。この結果は,沖縄県が他県に比べて温湿度が高く,ぬれ時間も長いため,これらの要因も影響しているものと考えられる。 非破壊評価に関しては,暴露6年目のRC構造物対象に,自然電位,分極抵抗,コンクリート抵抗等の電気化学特性値の測定を行った。自然電位はASTM-C876-80に準拠する腐食評価を行っい,分極抵抗に関しては筆者らの提案するランクに応じて腐食評価を行った。自然電位と分極抵抗の傾向とは,相関が見られた。
|