構造物に内在する欠陥形状同定問題をフィルタ理論を援用した計算力学的立場に立って構築した逆解析手法に関して以下のような成果を得た。 1.非定常温度データによる内在欠陥同定 構造物を熱伝導物体と考え、従来行われている定常境界温度データを用いて逆解析ではなく、非定常境界温度データによる手法の拡張を試み、定常逆解析とくらべて良好な同定結果を得た。 2.弾性定数の空間分布推定 複合材や弾性地盤を対象として未知弾性定数の空間的分布状態を推定する問題に対し、分布形状をスプライン曲面で表現し、含まれる未知パラメータを境界変位量により同定する手法を構築し、解析結果を検討した。 3.複数個未知欠陥同定解析 これ迄困難と思われていた複数個の欠陥同定問題に対し、上記の弾性定数空間分布推定により得られた成果を事前情報として有効に利用し、さらに逆解析を進めるという2段階逆解析法を完成し、3個の欠陥形状同定解析に成功した。
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