1.実測資料の収集 昨年度に引き続き、各研究機関の協力を得て、数多くの建築物について減数定数の実測資料および強風時の時刻歴応答波形を収集した。特に強風時の時刻歴波形が提供されているものに重点を置いた。 2.RD法による減衰定数の評価 収集された時刻歴波形について、RD法により減数定数および固有振動数を評価した。特に強風時の大振幅時刻歴波形が記録されている場合には、昨年度までの研究により完成された「振動振幅によるランク分けRD法」を用いて減衰定数および固有振動数の振幅依存性を評価した。 3.資料データベースの解析 収集・解析された減数定数を建築物の形状や構造に関する情報によってデータベース化した。各パラメータが固有振動数および構造減衰に及ぼす影響を統計的に解析し、次の知見を得た。(1)鉄骨造の建物では1次固有振動数と1次減衰定数の間に明瞭な関係が現れない。(2)鉄筋コンクリート造の建物では1次固有振動数と1次減衰定数がほぼ線形関係にあり、1次減衰定数は軒高と無次元振幅を用いて概ね推定する事ができる。 4.減衰評価式の提案 減衰定数のデータベース解析結果に基づき、設計時により精度の良い応答評価が可能となるような減衰評価式を提案した。構造種別、固有振動数などの基本パラメータに加え、大振幅時における仕上げ材の影響なども考慮して、振幅依存性の表現に重点を置いた減衰定数評価式を検討した。
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