空調用蓄熱システムの最適運転法を検討する目的に向けて、実際的な種々の運転条件の下でのシミュレーションを可能とするために、本年度は、種々の変動入力条件下での模型実験により温度成層型蓄熱槽の槽内混合特性を明らかにし、以下の研究に取り込み、任意の変動入力条件に対応した槽内混合モデルを作成した。 1.バルブコントローラを用いた流量制御装置を作成し、バルブ開度と流量との関係を計測して、制御プログラムに組み込むことにより、入力流量を任意に変化させることを可能とした。 2.入力条件が大きく変動する場合と小さく変動する場合についての槽内混合特性を把握するための実験を行い、任意変動入力に対応した槽内混合モデルの基本アルゴリズムを検討した。 3.入力が連続的な場合と断続的な場合についての槽内混合特性を把握するための実験を行い、断続的な場合には、一旦形成された温度成層部が中断後の入力により乱されることを見いだし、不十分ながらも槽内混合モデルが対応できることを確認した。 4.取水口の形状と位置の影響を組み入れるために、簡易ではあるが十分な精度を持つ取水口モデルを作成した。 5.実稼動している蓄熱システムの実測結果を利用して、蓄熱時と放熱時のシミュレーションを行い、実測と計算による槽内温度分布の推移を比較し、槽内混合モデルが十分な精度であることを確認した。 6.実際の蓄熱システムにおける蓄熱・放熱サイクルを模擬した入力条件の下での槽内混合特性を把握するための実験を行い、槽内混合モデルの精度を確認する。
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