研究概要 |
平成7年度の研究成果に基づき,平成8年度に実施した事項と得られた知見を以下に示す。 1.環境評価モデルの構成 平成7年度に実施した住民意識調査結果のデータ解析を進め,[環境要素-個人特性-評価]間の因果関係を説明する仮説を統合化するモデルを,共分散構造分析を用いていくつか構成し,相互の比較を通してそれらの有効性を検証した上で最も妥協性の高いモデルを採択した。 2.地域景観に関する被験者評価実験の実施 地域の環境状況を表す視覚的媒体として景観を取り上げ,住民による評価の分析から環境評価モデルの妥当性を検証する前段階として,学生を被験者とするスライド映像呈示による評価実験を実施し,東広島市の地域景観の一般的な評価傾向を把握した。また,属性が比較的均質な学生被験者においても個人特性が評価に影響を及ぼすことを指摘した。 3.環境評価モデルの整合性の検証 1.〜2.で得られた知見を整理し,東広島市の地域環境を示す景観写真と,CGによって作成した環境の改変を伴う景観写真をそれぞれ呈示して評価を求める住民意識調査を,1.の調査と対象地域,回答者を同じくして平成8年11月に実施し,有効回答592票を得た。調査結果に基づき,地域景観の総合評価を個別的な個人特性によって説明する評価モデルを1.と同様に作成し,特に「個人特性-評価」間の関係に構造的な同質性を確認し,環境評価モデルの妥当性の検証を行った。
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