研究概要 |
空気循環式躯体蓄熱システムを提案し,数値シミュレーションならびに事務所ビルの実測調査によりその性能を明らかにした。また,空気式太陽熱暖房システムの蓄熱部位として床スラブを利用した住宅の熱環境調査を行った。 (1)提案した空気循環式躯体蓄熱システム:夜間蓄熱時間帯に室内機(天井内ユニット)からの冷温風を天井プレナム内に循環させることにより躯体蓄冷熱し,執務時には天井内ユニットからの冷温風が執務室に直接吹出す。このとき執務室からの還気はプレナム空気と混合し,天井ユニットに吸い込まれる。 (2)数値シミュレーション:上記の空気循環式躯体蓄熱システムの計算モデルを作成するとともに,事務所ビルの基準階を対象とした数値シミュレーションにより,本システムを採用した室の熱環境および熱供給量について検討した。本方式のエネルギー消費量は無蓄熱空調方式のそれを僅かながら上回るが,夜間割引料金の適用により約30%のランニングコスト低減が見込める。 (3)事務所ビルの実測調査:空気循環式躯体蓄熱システムを神戸市の新築ビルに採用し,夏季の室内熱環境および除去熱量を測定した。足元が冷えるなどのクレームもなく室内のPMVは快適域に収まっている。エネルギー消費量はシミュレーションと同様の傾向を示す。 (4)戸建住宅の実測調査:空気式集熱部の温風を床下空間に回し床スラブに蓄熱する太陽熱利用システム(北九州市,戸建住宅)の実測調査を行った。日中蓄熱,夜間放熱のパターンで蓄放熱サイクルが行われているが,補助暖房を必要とし,太陽熱依存率は晴天日で30から44%である。
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