研究概要 |
九州大学総合理工学研究科熱エネルギーシステム工学棟屋上のターンテーブル上に設置した実大模型室の窓に内付ブラインドを設置して、その伝熱特性把握の実測を行った。実大模型室は幅、奥行、高さとも2.2mの立方体で、一面の壁に1m角の5mm4ガラスの窓と側壁および屋根にアクリルの観測窓を有する。ターンテーブルを逐次回転させることで手動設定ではあるが窓面を常に太陽に正対させることができる。 まず、窓室内側ブラインド周辺の気流の可視化を行い、日射がブラインドに当たる場合には、室内空気がブラインド下部のスラット(羽根)間から窓〜ブラインド間の空気層に流入し、ブラインド上部のスラット間を通過して室内に流出する現象を確認した。この空気流動の原因は空気層内の空気と室内空気の温度差による浮力であり、温度差の原因は日射を受けたスラットによる加熱である。次に、ブラインドを含む窓面を垂直方向に12分割し、各所で窓表面,空気層空気,スラット上下表面,室内空気とスラット間通過風速を同時測定し、窓屋外側屋外風速,窓面入射日射量,全天日射量,水平面拡散日射量,大気放射量,外気温度も同時に収録した。このデータからスラット間を空気が通する際の流量係数を実験的に求めた。 窓ガラスおよびブラインドスラットで構成される空間内の相互放射伝熱に吸収係数を用い、窓面を上下に2分割した換気計算と練成させる内付ブラインド窓の伝熱機構の定式化(モデル化)を行い、実験結果と照合した。スラット間通過空気の流速分布と縮流を考慮したモデル計算は良く実験値と一致した。最後に本モデルを用いて各種の太陽位置とスラット角度における成分別日射取得量および日射遮蔽係数をもとめ、従来の日射遮蔽係数と比較して、本伝熱モデルの有効性を提示した。
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