1.調査概要 異なる段階数の評価尺度の住民反応への影響を検討するために、4〜7段階の騒音の不快感尺度を有する4種類の調査票を作成して、鉄道騒音の影響に関する社会調査を行った。調査地区は熊本-福岡間のJR鹿児島本線、豊肥線、西鉄大牟田線沿線の戸建て住宅地区である。調査対象者は鉄道沿線の戸建て住宅に住む20〜75歳の成人から、1世帯当たり1名をランダムに抽出した。回収総数は1828であり、有効回収率は80.0%であった。4、5、6、7段階の尺度を使った調査票の回収数は、それぞれ464、462、434、468であった。 2.調査結果 4種類の調査票はサンプルを抽出した順に均等に配布したため、年齢、性別等の人口統計学的な変数や騒音の敏感さ等の騒音の不快感の大きく影響すると思われる変数の分布はどの尺度段階でもほぼ等しかった。そこで、騒音の暴露量(L_<eq>)と%very annoyedや%rather annoyed、%annoyedといった種々の反応割合との関係を比較した。これらのカテゴリーの上位から取った反応割合は、そのすぐ下位のカテゴリーに割り当てられた言葉の影響を強く受けることが判明した。このことは筆者らが以前行った心理音響実験の結果と一致しており、異なる調査結果を比較する際にはそれぞれの調査でどのような尺度が使われているかが非常に重要であることを示している。
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