縮尺した高層模擬建物(約2.5m高、75cm×75cm平面)を作成し、その中層部に模擬火災室を設置した。この火災室の奥壁面位置に垂直な燃焼面を持つガス拡散バーナーを設け、模擬火災火源として1.5kW〜7.5kWの熱量を与えた。火災室は幅50cm・奥行き10cm・高さ10cmとし、開口部を中央部に設置した。噴出火炎を出す開口部は、高さ10cmとし、幅を5cm、10cmそして20cmと変化させ、開口部アスペクトを変えた。外部風は開口に対して側方から与えた。設定した風速は、0cm/sec、6cm/sec、12cm/sec、32cm/sec、36cm/sec、75cm/sec、92cm/sec、143cm/secおよび188cm/secである。噴出火炎中の温度および上昇速度を測定し、測定平面での上昇気流の幅、上昇気流の断面積、トラジェメクトリーを得た。これらの測定値に基づいて、上昇気流の質量流量を算出した。また測定平面におけるトラジェクトリーの通過位置から、側方風を受けた噴出火炎の傾斜を算出した。噴出火炎に伴う熱気流のトラジェクトリーに沿った気流温度は流動距離の-1乗に比例した減衰を示し、上昇気流速度は流動流量の0乗に比例した。この性状は線状火源からの熱気流の性状に類似している。噴出熱気流は壁面の影響を受け、壁面に沿って細長い流動幅を持つためである。気流温度の減衰率は風速の1/2乗に比例して増大した。また、火炎の傾斜θは側方風の慣性力と熱気流の浮力の釣り合いによって決定され、θ∝V^<wind>/u^*・(D/W)^<1/3>と記述できた。ここでV^<wind>は風速、u^*は熱量基準の上昇速度、DおよびWは開口部高さと幅である。噴出気流は雰囲気空気を連行し流動するにつれて増大するが、側方風を受けると連行率は増大した。
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