1.研究目的・研究実施計画の概要 環境アセスメントなどで現在行われている騒音の予測では、昼間と夜間の音の伝搬性状の違いは考慮されていない。しかしながら、騒音に対する苦情の発生率は昼間よりも夜間に高いこと、また環境基準では、望ましいとされる騒音レベルの値が昼間、朝夕および夜間に分けてそれぞれ設定されていることなどを考慮すると、夜間を想定した伝搬の予測も行う必要があるといえる。そこで本研究ではこの点に着目し、昼間と夜間の音の伝搬性状の違いを、フィールド実験により定量的に明らかにすると共に、種々の条件で計算機シミュレーション実験を行い、夜間の伝搬に対しても適用可能な騒音予測モデルを構築することとした。 2.研究実績 まず、フィールド実験は平成7年8月28日〜30日、平成8年9月5日〜6日及び平成8年12月5〜6日の3回にわたって、東海市新宝緑地公園多目的グラウンドで実施した。これらの実験では、スピーカ音源から広帯域ノイズを放射し、音源から160メートルの範囲にわたる音の伝搬性状を昼夜にわたって連続的に測定すると共に、音響測定と同期させて風向風速、温度などの気象観測を行った。フィールド実験の結果から昼間と夜間の音の伝搬性状は、従来考えられている以上に大きく異なること、またその程度は周波数が高いほど顕著なことなどが、気象のデータと併せて定量的に明らかになった。 つぎに、フィールド測定で得られた知見及びデータを用いて、波動理論に基づく計算機シミュレーション実験を種々の条件で行い、昼間と夜間の音の伝搬性状の違いが、理論的にも定量的に説明できることを明らかにした。 以上の結果と空気の音響吸収のシミュレーション計算の結果に基づいて、夜間にも適用できる伝搬予測モデルを構築した。
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