1 「市町村マスタープラン」の制度化に当たっての議論の焦点は、わが国特有の県のレベルと市町村のレベルの2段階の都市計画マスタープランが存在することになり、その両者の位置づけと関係であった。 2 「市町村マスタープラン」の策定プロセスから出てきた課題を整理すると、(1)計画内容について法定都市計画との関係、(2)計画期間が20年と想定されているが、県のレベルの法定都市計画の計画期間が10年であることとの関係、(3)計画対象区域について、「市町村マスタープラン」は住民参加を前提としているが、都市計画区域外や市街化調整区域の住民との関係、(4)住民参加の方式と実際の運用などである。 3 「市町村マスタープラン」の策定状況を見ると年々増加し平成9年9月で237市町村である。中でも愛知県と神奈川県に策定市町村が多いが、両県の市町村の「市町村マスタープラン」の内容と策定過程を比較すると大きな違いがあることがわかった。さらに、計画策定において住民参加など特徴的な取り組みをした神奈川県の3市(協議会討議型と類型化できる横須賀市、ワークショップ型と類型化できる鎌倉市、インターネット型と類型化できる大和市)の策定過程を詳細に検討した。 4 わが国の2層制のマスタープランのモデルでもある、ドイツ、イギリス、フランス、アメリカなどのマスタープランの仕組みを調査分析しわが国との比較を行っている。
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