本研究、「非常時の都市計画理論構築にかんする研究」は、つぎの二部構成で行った。(1)阪神淡路大震災復興計画の論理(1996年8月印刷)(2)神戸市森南地区にかんする<復興シミュレーション>の結果報告(1996年12月26日暫定稿) (1)阪神淡路大震災復興計画の論理は、まず、阪神淡路大震災発生以降の筆者の行動、執筆した文章を整理し、つぎに行政の立案した復興計画の考え方を<傾斜復興><拠点復興>として整理し、筆者の提案した復興計画構想と比較した。わが国の災害復興計画都市計画には、関東大震災モデル、戦災復興モデルなどがある。これらは、被災市街地が基盤未整備の状況で、市街地を全面的に<この際>と再整備したものであった。阪神淡路大震災復興計画では、駅前、大きな被災地などに当初の復興計画を絞り復興計画の論理を組み立てている。 (2)神戸市森南地区にかんする<復興シミュレーション>の結果報告は、当初から強い住民の反対を受け、数次にわたり「復興計画の論理」が後退せざるをえなかった事例の分析である。原案、数次の改定案を都市計画専門家、東京都などの行政担当者に示し、討論のなかから、それぞれの復興計画の内容を分析するとともに、今後の事態の進行を予測し、シミュレーションした。事態は進行中であり、その結果を待つという意味で、暫定稿とした。
|