前年度に続き、コンピューターグラフィックス(CG)手法による都市景観評価法手法の開発・改良を、主に京都の場合について進めた。京都盆地は、近年都市建築群と周辺の特に山々の景観との調和が論じられているが、ここでは客観的な景観評価資料の提供を目指している。今年度は、山のスカイラインの可視解析と特定の高層建物への視線解析の方法を開発した。前者は、街の中の道路や空地から山を見たとき、視角90度以内にスカイラインが水平方向に何度見えるかを求める計算を行うもので、結果のスカイライン可視程度を地図上に濃淡で表現した。この解析プロセスは、(1)地形の3次元データ作成(20mメッシュの標高データを得るため、市販地図からディジタイザーで入力した等高線位置データからメッシュ点標高を求めた。)、(2)街区一杯に建物が建つとして建物モデル作成(街区を囲む塀状モデルであるが、地形の起伏に追随している。)、(3)視点データの自動発生(視点は歩行者が立ち入り可能の道路や広場などに限定して自動発生させた。)、(4)Zバッファ法によるレンダリング・ソフトによる計算、(5)計算結果の図化、である。後者は、高層建築など視線を妨げると思われる特定建物を、街の中の道路などから見た場合、建物壁面の可視部分を視点からの立体角で求め、前者の場合と同様に地図上に濃淡で図化する方法をとった。特定建物の解析では、街区周りの建物を直方体モデルで自動発生する方法をとった。同様な解析を行う準備作業として、奈良盆地を例に、地形モデルとして国土地理院発行の数値地図による約50mメッシュの標高データを用いるシステムを開発した。
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