都市景観評価のためのコンピューターによる数理的手法を、コンピュータ・プログラムを含めて開発した。主に2テーマがあり、第1のテーマは市街地から背景の山並みや特定の建物が見える量の計量化であり、第2のテーマは現在(あるいは過去に)可視である地域を特定する問題である。既研究があるが、ここでは、コンピューターグラフィックス(CG)の隠面消去画像作成法(Zバッファ法を主に用いた)を応用したシステム開発を含む点に特徴がある。第1では、地形を地図からの入力による3次元多角方モデルへの変換をはじめ、建物群の3次元簡易モデルの作成、山のスカイラインの可視角度の計算や特定建物の可視部分の立体角計算、計算結果の図化までに至るプログラムを作成して、京都盆地の計算例で確認した。この中では、ディジタイザーとパソコンによる地形・街区の入力や、ワークステーションによる高速計算、結果のパソコンによる図化など、種々の情報機器を組み合わせたシステムを構築し実施した。第2は、国土地理院の数値地図50mメッシュから得た3次元地形モデルと実景写真に基づいて、可視である地域を特定する問題で、CG計算手法を応用したものであり、やはりプログラムで京都を背景とする計算例によって実際に確かめた。これは、ディジタルカメラやスキャナーとパソコン、ワークステーションなど情報機器と市販ソフト、自作ソフトを組み合わせて目的にいたるシステムである。これによって、小型のコンピュータ・システムによる都市景観評価手法が実用レベルであることが確認できた。
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