研究概要 |
北海道での木造戸建住宅に関連する技能者(主に大工)の高齢化と減少は,他地域と比較して顕著であり,それに伴い現場作業量の低減が提唱され,徐々にではあるが,さまざまな効果が現れてきた。 例えば,在来軸組(北海道内の木造戸建住宅の約80%が在来構法)の,いわゆる「プレカット化」が進みつつあり,既に30以上の工場が稼働し,さらに増加する傾向が見られる。 平成7年度は,社団法人・北海道住宅建設協会の協力を得て,会員にアンケート調査を実施した。その結果,配布部数120部に対して,約50%の解答があった。その成果の一部を列記すると, 1.北海道内の大手住宅メーカーは,:現場合理化の必要性は強く認識しており,具体的な方策として,回答企業の約18%がプレカット,あるいはパネルの工場を所有し,残りの16%も今後,何らかの工場を希望している。しかし,全体としてはあまり進んでいないのが現状である。 2.将来的に合理化を望んでいる部位は,基礎が36%,次に軸組が18%と,上位を占めている。 3.約90%の企業は,断熱・気密工事の別発注を望んでいる。 北海道内における現在の大手住宅メーカーの合理化の進捗状況と今後の展開方針は,今回の調査で得られた。しかし,中小の工務店(新築戸数が年間5〜10戸程度)に関しては,未だ十分に資料が得られていない。現実には札幌などの都市以外では,この規模の工務店が地元の住宅を多く手掛けているのが実態である。この点を踏まえ,平成8年度はこの実態を明らかにしたい。
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