研究概要 |
本研究の目的は北海道の木造戸建住宅に関わっている建設業者の現状,および合理化の方向性を明らかにし,今後の構法開発の基礎資料を得ることにある。調査対象は,主に木造戸建住宅を建設している北海道内のハウスメーカー,および工務店である。調査時期は1995年から96年で,調査票の総配布部数は427部,有効部数は221部,回収率は51.8%であった。その分析結果を以下にまとめる。 1.現在,採用している建築構法については,札幌圏では,在来構法のみを採用している業者は30.0%であるが,他地域では70.3%の高い割合となっている。2×4では,札幌圏では30.0%で在来と同じ割合であるが,他地域ではその約3分の1となっていた。 2.大工の過不足では,全体的には「少ない」,と答えている割合は56.4%と高い割合を示しており,これは地域別,構法別ともに同様な傾向がみられた。 3.「今後,希望する建築構法」については,現在の構法を採用している割合は非常に高く,特に2×4に至っては100%であった。在来構法では大工の高齢化が目立ち,枠組壁構法では大工不足という大きなマイナス要因を抱えながらも,現状を維持していかなければならない,という現実が見えてくる。 4.合理化を図るための具体的方法では,「基礎」は,「プレファブ化」が高く,在来の「軸組」では,「柱と梁の規格統一」が最も高くなっている。「外壁」では両者ともに「断熱材・防湿材を組み込んだパネル」を望んでおり,この傾向は床,間仕切壁にも見られた。このように,企業は各部位のパネル化を強く希望しており,今後,各パネルオープンな部材として供給されるためのシステム作りが必要となると思われる。
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