研究概要 |
近年,大工などの技能者の高齢化,人数の減少に伴って戸建木造住宅の生産合理化が全国的に進められている。本研究の目的は,北海道の木造戸建住宅に関わっている建設業者の現状,および合理化の方向性を明らかにし,今後の構法開発の基礎資料を得ることにある。調査対象は,木造戸建住宅を建設している北海道内のハウスメーカー,および工務店で,調査時期は1995年から96年である。その得られた結果を以下にまとめる。 (1)戸建木造住宅を建設している企業のほとんどは中小規模で,主に在来構法を手がけているが,札幌圏では2×4構法が増加している。(2)大工の年齢は,在来は2×4に比べ高齢化が目立ち,今後,ますますこの傾向は加速されるものと考えられる。(3)各企業の合理化に対する対応については,在来では軸組のプレカット,2×4ではパネルが主流となっているものの。未だ,十分な設備機器の普及には至っていない。これはパネルの規格統一が促進されると,かなりの速さで設置されるものと思える。(4)合理化を希望する部位では,布基礎,外壁が高い割合となっていた。具体的には布基礎のプレハブ化,外壁,床,屋根ではパネル化への指向が強く,今後,これらをいかにオープンな部材として建設システムをも含めた検討が急がれる。(5)気密性能については,まだ半数程度の企業は測定経験がなく,特に暖かい道南地域でその遅れが目立つ。しかし,測定された値は5.0cm^2/m^2以下が大半を占めており,高気密な住宅を建設する技術力はあると考えられる。
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