研究概要 |
指示代名詞コレ、ソレ、アレの使い分けによる指示領域を様々な生活の状況に対応させながら、実物大実験により3次元的に把握した。関連既往研究やパーソナルスペース等の人間の空間知覚特性と比較し合わせ考え、指示領域が立体的な空間スケールの物差しになりうるという確証を得た。また姿勢、空間のプロポーション、他人の存在等指示領域を変化させる条件を人間心理・行動の立場から意味付けることができた。本研究の成果は以下のとおりである. 1,立位、臥位、椅子座位(作業椅子、および安楽椅子)、平座位(正座、および胡座)について非限定空問における個人型3次元指示領域が求められ、各姿勢の特徴が指示領域の変化として表された。臥位の指示領域は立位に比べると狭く、動作のしにくさ等、臥位の特異性か性格付けられた。安楽椅子の座位も同様に狭く、臥位との類似性が見られた。一方、正座の座位は立位との類似性が見られた。 2,立位・非限定空間において、対人距離と配置形態を変えて話し相手に対する対話型の指示領域を求めた。対人距離が大きくなり普通の会話のしにくい距離になるとそれぞれの領域は大きくなる変化か見られ、相手の位置と距離の特徴が指示領域の変化として表された。またソレ領域は相手の個人型のコレ領域を包む形となり、他者が認識する個人空間領域の一面と考えられる。 3,室空間の大きさ、形状の変化、同容積でのプロポーションの違いによっては、指示領域は室空間の水平方向の変化に影響を受けやすく、垂直方向の変化に影響を受けにくいことがわかった。 4.臥位について、他人の存在、他人との距離により指示領域か変化することを確認した。
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