全国各地で地域型住宅の開発が着実に進んでいる。地域型の住宅づくりの必要性は一定の社会的認知が得られるようになってきたといえる。ただし、これからの地域型の住宅づくりを継続的・安定的な形で進めていくために前提とすべき技術体系や組織体制のあり様については試行錯誤を繰り返している。このような状況の中で、開発・提案された地域型住宅モデルの地域への定着・普及に関わる地域住宅設計者への期待は大きい。 本研究では、各地ですでに開発提案があり、その後一定の時間的経過のある地域型住宅開発事例の開発者を対象にアンケート調査を実施し、開発・提案された地域型住宅モデルの内容、その後の地域への普及・定着状況、地域の住宅生産システムに与えた影響・効果を明らかにした。 また、地域の住宅モデルづくりに積極的に関わっている住宅設計者を対象に、地域の住宅生産の中で果たす多様な役割の実態調査を実施した。地域の設計事務所の設計者、大工・工務店の設計者など立場の違いによる役割・機能の違いを対比的に明らかにした。さらに、地域型住宅モデルとして特徴的な数タイプを抽出して、時系列的な分析を中心として、モデル住宅が地域の中に普及していく過程で中央の建築家、地元の設計者、地元の施工者が果たしてきた役割・効果・限界を明らかにした。 以上の調査成果を踏まえ、多様な地域住宅設計者像の検討を行った。
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