1.昭和40年度前半に建設された肢体不自由養護学校2校を対象に、障害の発生要因の変化に伴う重度化・重複化、就学の義務化、学級編成基準の改定等の変化の中で、施設がどう対応してきたか、その変遷の内容をヒヤリング、教職員に対するアンケート、教室まわり空間、便所、職員室等の観察・家具配置等の調査により整理し、それをもとに養護学校における教育と施設の対応関係について考察を行った。主な内容は、(1)教室回り空間の構成方法として、教室空間の広さ、チームティーチングの実施状況とそれに対する空間の自由度の確保の必要性と有効性、学習姿勢の多様性に対する空間、家具等の計画の留意事項等、(2)児童・生徒の障害の多様化に対して多様な形態の便所が必要とされ、教室との位置関係に留意して配置する必要性、(3)学級編成基準の改定により教員数が増大したことに対する職員室の構成方法、(4)屋内外の連続性の効果、等について問題点を把握し、そのあり方について提案を試みた。 2.近年建設された肢体不自由養護学校の事例の観察調査を行い、課題への対応状況について上記との比較考察を行った。 3.精神薄弱養護学校について、就学の義務化のなされた昭和54年度に建設された1校、この数年の間に改築された学校2校を対象に、ヒヤリング・観察調査を行い、教室まわり、便所、その他の施設・設備について問題点を整理した。 4.養護学校の新しい課題として、高等養護学校の事例、養護学校を対象に観察・ヒヤリング調査を行い、職業訓練施設・設備計画のあり方、学級編成の多様化等について問題点を整理した。また養護学校や特殊学級をサポートするセンター施設についても調査を行った。これらは、次年度のテーマの一つにする予定である。
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