昭和38年に建設され、改築計画が進行中のF県立K肢体不自由養護学校を対象として、その後の発生原因の劇的な変化と症状の重度重複化、就学の義務化、学級編成基準の改定等、児童・生徒の属性や制度の大きな変化の波の中で、一つの施設が時代をどう生き抜いてきたか(工夫をしながら使われてきたか)、モノグラフ的に整理し、そこから今日的な状況に照らして、建築計画的課題について考察・提案を試みている。 教育方法、施設の現状の問題点や工夫について全教員に対するアンケート調査、また全教室の家具配置、教育環境構成の記録・整理を行い、実態を明らかにした。その結果をもとに、学習集団編成、教室の使用形態の調査、授業展開のタイムスタディ、空間・施設・設備・家具の使い方、問題点等についてヒヤリング、意見意見交換等を重ねて実施した。 そのデータを分析することにより、教室空間の広さ・形状、教室まわりの構成要素と空間特性、便所の種類と教室群に対応した配置方法、特別教室の規模算定・空間構成・設備・仕上げ・什器計画、教職員諸室・収納・教材室等の構成、配置等について問題点、計画的課題をまとめた。 さらに、全国的な視点から、精神薄弱養護学校、病弱虚弱養護学校、高等養護学校等、施設面、教育面における先進例、特色ある事例の実態調査を行い、各事例を相対化しながら、養護学校の施設計画について提案を行っている。
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