研究概要 |
本年度は次のような調査研究を行った。 1)旧東海道の街道景観の総合的分析: 1-1.道路の屈曲と宿場等の家屋配置の関係:宿場のほぼ両端部で街道が屈曲する傾向があり、宿場の景観に内部的な雰囲気を与えている。特に土山と瀬田では神社正面の参道に横から街道がぶつかる形の配置があり、街道の雰囲気の急激ともいうべき変化を演出している。 1-2.街道沿いの町並:街道沿いの建築物は 1 二階の背の低い伝統的様式建築 2 二階の背の高い近代の伝統的様式建築 3 モルタル塗等現代的家屋 の3者から構成されるが、1,2が現在まで一部で造り続けられている。1は大津から土山まで徐々に形態の変化が見らるが、2,3は全体を通して同じ形式であり、街道景観の個性を希薄にする傾向が見られる。 1-3.街道沿いの集落景観:道路から一定距離後退はしているが、切妻平入の町家的な形態を取っている。街道との間の前庭はかつては作業スペースであったが、戦後そこが庭園化され、街道が庭園の中を行くごとく、ある意味で江戸時代以上に美しい景観が形成されているとも言える。 2)交通路としての街道の分析:明治以降各年代の地図により、街道沿いの集落規模の変化と道路の整備状況の関係を年代順に整理し分析した。 3)歩行者路としての街道の整備計画:案内標識の整備が先ず必要である。歩行者および自転車の両者の利用を考えるべきである。一部に単調な景観や寂しい場所が長く続く箇所があり、休憩所等の整備が求められる。また町並だけでなく、三上山などの眺望視線の保護が魅力ある歩行者道のために必要である。交通量の多い箇所があり、バイパスの設置が求められるが、その経路の計画は今後の課題として残った。
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